熱中症への注意が叫ばれています。
日本全国、毎日が猛暑日。
毎日、全国で何人もの方が救急搬送され、既に何人もの方がお亡くなりになっています。
今年の夏は急に暑くなりました。
環境の変化が激しい時は、更に熱中症を起こし易くなるといわれます。
外出しなければ安全かというと、そういう訳ではありません。
ご存知のように、家の中でも熱中症は起こります。
救急搬送される方の半数は、65歳以上の高齢者。
高齢者は、家の中で熱中症を起こしているケースが非常に多いのです。
ご年配の方は冷房を嫌う方が多く、部屋の中が暑くても平気。
しかし、室温が28度、湿度が70%を超えると危険です。
汗が気化され難くなり、その分だけ熱が奪われないため、体温が高くなります。
必ず、冷房を使うようにしましょう。
<こんな症状には注意を>
Ⅰ度(軽症) → その場で何とか対応できる
手足が痺れる
目まい・立ちくらみ
筋肉が痛い・ツル
気分が悪い・ボーとなる
Ⅱ度(中等症) → 病院へ行ったほうが良い
頭が痛い
吐き気がする
だるい
何となく意識がおかしい
Ⅲ度(重症)→ 直ぐ救急車を呼ぶ
意識がない
呼びかけても反応が鈍い
ケイレンしている
歩けない
体温が高い
熱中症で、筋肉痛を起こす場合があります。
外来に受診された30歳台の女性。
「体中が痛くて、怠いんです。」と訴えます。
お話を聞けば、炎天下、一日中戸外でイベントのお仕事をなさっていたとのこと。
「熱中症には気を付けていたんですけど・・」
その日の気温は35℃。
暑い昼間、長時間カメラを担いで会場を廻っていたそうです。
「それは、きつかったでしょう。」
「もう、体全体ガチガチ、バリバリです。」
「食事と水分は摂れていますか?」
「はい、そのつもりで補給していました。」
拝見させて戴くと、背中と肩はまるでソフトボールの玉のように、硬くカチカチ。
単純に筋肉疲労で起こった痛みでも、全く可笑しくありません。
筋肉自体に痛みが起こるメカニズムは、大きく分けて2通りあると考えられています。
1:筋繊維の損傷
過度の筋肉使用で筋繊維が細かな断裂を生じ、その周りに炎症反応を起こし、プロスタグランジンなど痛みを起こす物質が発生するため。
2:循環不全
血流が悪くなると、筋肉が酸素不足になる。
一方、代謝物質の刺激で痛みが起こり、またその代謝物質が蓄積をおこすため。
熱中症で筋肉痛や筋痙攣を起こすことがありますが、熱中症による筋肉痛は、俗にいう「こむら返り」のような状態です。
「熱痙攣」と呼ばれることもあります。
これは、大量の汗で塩分、主としてナトリウムが失われて起こる症状です。
今回、患者様の状態を考えると、過度の疲労による筋肉痛もあるでしょう。
皆様方も、過酷な環境で体を酷使するのは止めましょう。
暑い日に、エアコンが壊れた部屋で丸一日過ごした経験があります。
酷く辛い思いをしながら、一日過ごしました。
暑い日に限って、エアコンは壊れます。
経年劣化は、どうしようもありません。
久しぶりに、空調がなかった時代へタイムスリップしたような気分でした。
文明の進化と共に、人の生活は便利になり、豊かになります。
スイッチを押せば必ず結果が現れる、それが当たり前の時代です。
若しかするとスイッチが無ければ自分では何も出来ない、そんな人間になったのではと思うことがあります。
妙なことばかり考えてしまうのは、少し暑さに遣られたのかも知れません。
舘内記念診療所