熱の感受性は個体差がある マイルドハイパーサーミアも良い選択枝

熱に対し、その感受性には個体差があります。
熱い風呂は嫌だという人もいれば、熱くない風呂は入った気がしないという人もいます。
風呂の好き嫌いは別にして、ハイパーサーミアでの癌温熱療法についても、その出力レベルには、個体差がでます。
サーモトロンRF8は出力を変えられる機械ですが、僅かな出力でも辛いとおっしゃる方もいれば、最大の出力でも平気とおっしゃる方もいます。

当院では、最初に受診されたとき、その患者様がどの程度の出力が相応しいのか調べます。
何方が受けても絶対大丈夫のような、低い出力から徐々に上げて行き、その患者様の至適なレベルを定めます。
患者様方には必ず、我慢しないように申し上げています。
「どんな風になるのですか?」
患者様は一応に同じ質問をなさいます。
これも、感じ方には個人差があるのです。
「熱かったり、チクチクしたり、ピリピリしたり、圧迫されるように感じたり、痛くなったり」様々です。

実際に処置を受けているご本人でなければ、その症状が分かりません。
何か異常を感じた場合には、必ず直ぐ傍にいる者へ伝えて戴くようにお願いしています。
訴えに応じて、様々な対策を講じます。

一般的には皮下脂肪が厚く、太った方が熱く感じやすい傾向を示します。
しかし、必ずしもそうとは言えません。
体格が良く太った方でも、高い出力を用いて問題なく治療出来るのです。

当然、出力が高くなれば成る程、高い熱が発生します。
高出力の方がより温熱効果が期待される訳です。
42、5度を患部温度の目標としていますが、低ければ効果が無いという訳ではありません。
40~41℃位を目標として「マイルドハイパーサーミア」が行われます。
ご高齢の患者様や、体力が落ちて治療によるリスクの高い方、機械の高い出力に耐えられない方には、出力を少し低くコントロールしながら行うのです。
「マイルドハイパーサーミア」は、免疫賦活作用が期待できると考えられています。
ご自分に合った治療を取り入れながら、「マイルドハイパーサーミア」を行うことは良策です。
また、緩和ケアを受けながら「マイルドハイパーサーミア」を併用するのは、生活の質の改善に効果が期待出来ます。
今までと変わらない生活を維持することこそが、病気との共存です。

舘内記念診療所

!このページのコンテンツは全て院長 医学博士 安部英彦の監修に基づいて執筆・制作されております。