偉い先生方の集団は纏まらない 同業者の旅行幹事

行楽のシーズンです。
紅葉も色付き、温泉が恋しい季節になりました。
地方の同業の会などでは年に一回ほど旅行へ行き、親睦を深めます。
幹事は持ち回りで二人、任命されます。
その旅行幹事を、私が勤めた時の出来事です。

先ず目的地は何処にするか。
20名ほどで構成する会員の先生方からアンケート。
なかなか集まらないアンケートの提出を、会員の先生お一人お一人に、頭を下げながら集めました。
結果、日本で指折りの温泉観光地に決定しました。
実際に参加された先生は7名。
出来るだけ先生方のご要望に応えるよう、細部に渡りご意見を伺いました。
その結果、予約が取れないほど人気の観光列車を利用し、大露天風呂があり、宴会場があり、麻雀の部屋があり、その他にも様々な要望に応えるべく最大限の努力を尽くし、その日を迎えたのです。

いくら待っても、時間に集まらない。
二人来ては、一人消え。
最後の先生が来た時は、もう列車が出発する直前でした。
指定席へ座ってもらうと、早速ビールの注文。
あらかじめ用意していた缶ビールを先生方へ渡すと、矢継ぎ早におつまみの要求。
一息ついたと思ったら、自分の席には座らず、あちらこちらへウロウロ、バラバラ。
車窓の景色を眺める余裕もなく、宿へ到着。
風呂に入って戴き、宴会となりました。
ここまでは、ある程度予想通り。
問題はこれからです。

専用の麻雀部屋が確保出来なかったため、他の泊まり客へ迷惑をかけないように、予約した三部屋続きの真ん中を、麻雀する部屋に充てました。
その当時、麻雀好きの先生は多く、始まったら終わることを知りません。
ジャラジャラ、ジャラジャラ、
「はい、ポン!」
「はい、チー!」
「はい、ロン!」
再び、ジャラジャラ、ジャラジャラ・・。
延々と、これが続きます。

そんなに麻雀が遣りたいなら旅行に行かず、雀荘でも貸し切れば良い、と思うのですが、泊まりで延々と遊ぶのが真骨頂なのでしょう。
私は、麻雀が嫌いという訳ではありませんが、幹事の務めもあります。
麻雀を遣っている先生方を眼の前に差し置いて、その部屋で寝ることも出来ません。
幹事は、条件が悪い部屋に泊まるように、習わしで決まっているのです。
しかし、余りにも深夜となるため、隣の部屋へ避難し、仮眠させて貰いました。

翌朝は当然、観光の予定。
しかし、先生方は麻雀でもう疲労困憊。
「ワシはもう帰るから、切符をくれ。」と年配の先生が言い出します。
「じゃ、僕も。」と、次々に帰りの切符を要求する先生が続出。
残った先生方は観光へと思いきや、
「僕は、今からゴルフに行く。」と言い出します。
結局、残ったのは幹事二人だけとなりました。
「どうしようか?」
「どうします?」と遣り取り。
「二人で観光しても仕方ないので、もう帰りましょう。」という結論に至りました。
「風呂に入って、宴会して、麻雀したら、結局どこに行っても一緒だね。」
「アンケートは一体、何だったんだろうね。」
など愚痴りながら帰りました。

しかし昔は、我儘な先生が多かった。
これ程まとまらない集団は、滅多にお目に掛からないかも知れません。
偉い先生方が集まると、統率困難になると言うお話でした。

舘内記念診療所

!このページのコンテンツは全て院長 医学博士 安部英彦の監修に基づいて執筆・制作されております。