高血圧で通院中の40歳代男性。
診察室へ入るなり、「せんせ~、痛風みたい~。」と訴えます。
「どんな風ですか?」と尋ねると、
左足の脛を指しながら、「これです。痛いからマッサージに行ったら、そこで痛風じゃないのって言われたんです。」
診ると、足首から上20センチ程、皮膚が紅潮し、腫れています。
「押えると痛いんですよ。」
触ると熱があり、確かに痛そうです。
「これ、痛風じゃありませんよ。蜂窩織炎ですね。」
「蜂窩織炎? それって何ですか?」
「皮下組織に起こした感染症です。痛風は関節に起こすものですが、ここは関節じゃありません。」
蜂窩織炎とは:皮膚および皮下組織におこした細菌感染症
原因:レンサ球菌やブドウ球菌の感染
皮膚の掻き傷や刺し傷、火傷、真菌(水虫)感染、皮膚炎など小さな傷から侵入
症状:炎症症状(熱・痛み・腫れ)
悪寒や、皮膚の水疱を形成する場合もあり
リンパ節の腫れを起こす場合もあり
繰り返す感染でリンパ系統の組織が崩れ、常に腫れている場合もあり
治療:抗生物質の投与
レンサ球菌やブドウ球菌に対して効果がある抗生剤
合成ペニシリンやセフェム系の抗生物質を、少なくとも10日使用
小さな傷から細菌が侵入して感染を起こす場合が多いのですが、傷がないのに起こる場合もあります。
マッサージや指圧を遣って貰ったかどうか分かりませんが、炎症を起こし、熱があり腫れているところを遣るのは駄目です。
安静にして、局所は高く保ち、出来れば少し冷却して過ごすのが良いでしょう。
患者様の状態は現在、腫れや熱もなくなり、改善に向っています。
皮膚は日頃から清潔にしておきましょう。
舘内記念診療所