「仁者寿」について – 私の勝手な解釈

「 仁者寿 」
当院の診察室に筆書きの書を飾っていますが、まれに患者様から、その書についての質問を頂きます。
寿を「いのちながし」と読むのですが、その意味から病院や診療所の待合室や診察室に見かけることがあるかも知れません。
これは、孔子の論語に載っている言葉です。
次のような言葉の一部になります。

知者楽水 仁者楽山
知者動  仁者静
知者楽  仁者寿

読み方は、以下のようです。
知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
知者は動き、仁者は静かなり。
知者は楽しみ、仁者は寿し「いのちながし」。

意味は、以下の通りです。
物事の道理に通じている者(知者)は、動く水を楽しみます。
知の上にさらに仁を備えている者(仁者)は、動かない山を楽しみます。
知者は活動し、仁者は静かです。
知者は変化に適切に対処していくことを楽しみとし、仁者はすべてにゆったりとし、慌てないので長生きします。

これを更にまた、飛躍させて意味を考えてみると、次のようになるかと思います。
物事の本質を見ぬき、道理に通じている知者は、水のように流れにそって臨機応変に対応していくことができます。
仁徳を備えている者は、山のように堂々として動かず、流行に流されることはありません。
物事の道理に通じている知者は、その知性を使い社会で行動し活躍します。
知の上にさらに仁を備えている仁者は、名声を手にするような活躍にあまり興味がなく、静かに道徳的な人生を送ります。

仁者寿の寿は、ただ長生きだということだけでなく、寿命に従って生きるという意味があり、生き方そのものを表しているのではないかと考えられます。
現代的な表現で簡単に言い換えるとすれば、
ストレスを抱えながら狡賢い生き方をするより、欲に捕らわれること無くストレスのない生き方のほうが長生きしますよ。
という事になるでしょうか。

孔子は、言わずと知れた中国春秋時代の思想家であり哲学者です。
ウィキペディアによると、生まれた時期は、紀元前552年または紀元前551年、没年は紀元前479年ということですので、およそ73歳で亡くなったことになります。
その当時、中国人の平均寿命が何歳なのか全く分かりませんが、間違いなく長生きだったと言えるでしょう。

論語は、孔子の死後およそ400年もの時間をかけ、お弟子さん達がその教えを編纂したものだそうです。
紀元前のお話ですし、お弟子さん達が何世代も受け継いで作り上げたことを踏まえて考えると、論語のなかの「仁者寿」は孔子像の一つなのかも知れないと勝手に想像しています。

舘内記念診療所

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