ゴルフコンペの景品王 - ブービー賞の常連

皆様ご存知のように、2021年4月にアメリカで行なわれた「マスターズ・トーナメント」で松山英樹選手が優勝しました。
日本の男子選手がゴルフの海外メジャー大会で優勝するのは初めてのことですし、アジア人でも初めてとなる歴史的な快挙です。
ゴルフファンならずとも、胸ときめかしながら固唾を飲むように試合の中継をご覧になっていた方が多くいたのではないかと思います。
翌日、血圧が上がったという連絡が患者様から数件、診療所にありました。
この診療所だけでも数人いたということは、日本中では一体何人の方が血圧に影響を受けたのか計り知れません。
遠く離れた国の試合をテレビ中継で観戦することが出来るようになり、リアルタイムで感動や興奮が得られることは非常に有り難いのですが、時差はどうしても避けられません。
ある程度の年齢以上は、翌日のダイジェストをご覧になるようお勧め致します。

ゴルフ繋がりで思い出をひとつ。
遠い昔のお話です。
勤務していた病院医局の親睦に、年3回ほどゴルフコンペが開催されていました。
運動が余り得意な方ではなく、一緒にラウンドする先生方に迷惑をかけることもありました。
少しでも足手まといにならぬよう、コンペの前はゴルフ練習場へ足繁く通ったものです。
しかし、いくら練習場で鍛えても、コースで結果を残すことはありませんでした。
あれほど練習場で上手く打てたボールが、ゴルフコースに出ると、あっちへ打ったり、こっちへ飛んで行ったり。
緑に満ち溢れ、綺麗に整備されたゴルフ場は修行の場と変貌します。
「どうして、こんなに辛い思いを我慢しなければならないのだろう。」とラウンドの途中で思うこともありました。
ティーショットではシャンク(ゴルフクラブの端に当たり、ボールが横に飛ぶ)し、ティーグランドにあるマーカーのポールに当たり、自分に跳ね返ってくることもあります。
私のティーショットは危険だと察するや、パーティーのメンバーが前ではなく、後ろに向かって「ファー!」
私が打つ番には、皆どこか茂みの影に身を隠す始末でした。
当然、ハンディキャップが沢山貰えます。

コンペの楽しみは景品です。
一位は無理ですが、ブービー賞は一位に次いで良い景品が用意されています。
ブービーは最下位から二番目。
狙って取れる順位ではありません。
勤務先は、ゴルフが親睦行事として盛んな総合病院でした。
病院を上げ開催するゴルフコンペで、そのブービー賞を、しかも三回連続、獲得したことがあったのです。

本当は、ゴルフコンペに参加したくありませんでしたが、ゴルフの度に豪華な景品を持って帰るので、子供達が「今度は何?」と期待しています。
景品で、子供たちが最も喜んだものは、レーザーディスク再生機でした。
今ではレーザーディスク自体、世の中から消えてしまいましたが、その頃の録画再生はテープしかない時代です。
レーザーディスクはテープと比べ、遥かに綺麗な映像を鑑賞できる最先端の家電でした。
ディズニーの制作映画を、そのレーザーディスクで初めて観たときは、映像や音響に驚いたものです。
まるで、自宅の居間が小さな映画館。
私も子供達と同様、固まったように映画を観ていました。

棚からボタ餅の幸運でしたが、それを羨む人が必ずいます。
参加したメンバーにも、「先生、賞金王ならぬ景品王だね。」と皮肉を言われました。
その病院を転勤するまで、「景品王」と呼ばれ続けたというお話です。

昔、地方の総合病院に勤めていた時代のお話でした。
このコロナ禍では到底考えられない、平和な時代だったと思います。
暗い話題ばかりの今日この頃、日本人が獲得した「マスターズ・トーナメント」優勝はとても明るいニュースでした。

舘内記念診療所

!このページのコンテンツは全て院長 医学博士 安部英彦の監修に基づいて執筆・制作されております。