電磁波温熱療法の副作用について、少し述べておきたいと思います。
電磁波温熱療法(ハイパーサーミア)でみられる副作用は、化学療法や放射線治療などの標準治療と比べ、非常に軽微です。
生活に影響するような、重い副作用は有り得ないと考えて良いでしょう。
敢えて副作用を挙げるとすれば、先ず火傷です。
火傷をするとしても、電極を当てていた皮膚の一部が赤くなり、少しヒリヒリするようなもので、そのまま放置していても、2~3日で良くなる程度(Ⅰ度の熱傷)が殆どです。
当院では、それ以上に重度の火傷を経験したことがありません。
火傷を起こして仕舞う最も多い原因は、身体と電極の間隙です。
電極と皮膚との間に隙間があると、そこにある空気に遮られて電磁波が乱反射し、そこがチクチクとした痛みを感じ、その部分の皮膚が赤くなったりします。
そのため、成るべく電極と身体が圧着させた方が良いのです。
多少、苦しいと感じるかも知れませんが、圧迫することが可能な患者様には、出来るだけ電極を圧着するようにしています。
電極で押さえることで、副作用を軽減することが出来ます。
背側と比べ、腹側の方が人体表面の皺や凹凸が多く、ご自分の体重で電極へ圧着させることを目的とし、うつ伏せの姿勢で行います。
こうすることで、火傷も起こし難くなる筈です。
更に、エコーゼリーを身体と電極の間に塗り込んで、隙間が出来ないようにし、痛みを感じやすい部分には、テープを貼り保護すると共に、皮膚の皺や弛みがある部分を伸ばすように貼り、成るべく症状が出ないような工夫を加えます。
また、火傷を避けるためにも、施行の最中に何か異常を感じることがあれば直ぐ、係の者へ伝えるようにお願いしています。
その他、注意すべき点は脱水です。
出力が上がれば上がるほど、身体から発生する熱は多くなります。
当然、体温は上昇し、発汗します。
発汗が多くなれば、体液が奪われ、脱水へ傾く訳です。
そのため、脱水に陥ることがないように、予め水分の補給をお願いしています。
一度に大量の水分を摂るよりも、少量の水分をこまめに摂るようにした方が良いと思います。
治療を受けている最中にも、水分を摂ることが可能です。
手助けが必要な場合には、係の者へ伝えて頂ければ、お手伝いを致します。
終了した後、治療中に余り汗が出なかったと感じても、必ず水分を補給するようにお願いしています。
また、一時的に熱のため、皮下脂肪が溶け、治療後に皮下脂肪の塊が皮膚の上から触ることがあります。
コロコロした塊が皮膚の上から触れるので、驚くことがあります。
しかし、治療を受けた後から起こったという明確な因果関係があり、触れるとヒリッとした痛みを感じるので、直ぐに判断することが出来るでしょう。
皮膚への転移で生じた腫瘍を触れたとしても、そのような痛みを感じることはありません。
大体、10日から2週間ほどで、脂肪の塊は溶け、身体の機能に異常は残しません。
このような現象が起こる場合があると知らなければ、驚くことがあります。
滅多に経験しませんが、このようなことが起こる場合もあると知っていれば、慌てることがないでしょう。
その他、起こり易い症状は、倦怠感です。
一般的には、湯中りと同じ状態で、遅くとも1日から2日で治ります。
筋肉痛も稀に起こすことがあります。
これらの症状は、いずれも軽微なものであり、通常生活への支障はあり得ません。
最初に申し上げましたが、ハイパーサーミアを受けるにあたり、重大な副作用を考える必要はないでしょう。
但し、ご高齢の方や梗塞や出血などの血管障害をお持ちの方、心不全や呼吸不全の既往がある方など、リスクをお持ちの場合には十分な注意が必要です。
そのため、治療を行う場合には患者様の状態を考慮し、経験的な出力の調整が不可欠となります。
舘内記念診療所